「けがというのは『我、怪しむ』ですから、自分を反省する『気づきの時』」を持ち「自分を振り返る時間を作りなさい」ということだとバレリーナの酒井はなさん(朝日新聞03/06/16)。 からだが資本で常にからだと向かい合っている人の言葉だ。けがに限らず病んだときは自分の今のあり方を振り返る大切な時を得たに違いない。

 私は患者さんに「せっかく病んだんだから仕事休んだら」「良い機会だから寝ていたら」と病いを口実にサボることを勧めている。だって一生のうちにそうは堂々と休めることはないだろし、 無理して仕事してより悪くするよりも軽いうちに休んで治したほうが良いと思うからだ。

 病むということは間違いなく生活のあり方やこころの持ち方に何か不具合がある結果なのだから、その修正を計らなければならない。
 例えば腰が痛くなったときに骨、関節、椎間板などの構造的な問題を考えるよりも、日常生活で腰にどのような負担をかけているかに思いをはせるほうが大切だろう。 治療などするより先に腰に感謝して腰をいたわってやればいいと思うのだ。