肩こり、頭痛、腰痛はねこ背が原因

 慢性的な肩こり、頭痛、腰痛の原因のひとつにねこ背があります。外見上ではねこ背とは見えない「隠れねこ背」の方も多いのです。 背中が丸く前かがみになっているのを、腰の部分で反り、骨盤を前に傾けることによって隠してしまうのです。 ご本人も背筋(せすじ)を伸ばしていると思っていますからねこ背と気づきませんし、外見からは分かりにくいのです。

 ねこ背は背中の筋肉や首の筋肉の負担を増やしますので背中の痛み、肩こりになりやすく、肩や首のコリのために頭痛を起こすことになります。 また肩の関節が前側にいくために肩関節の痛みや運動制限を起こしやすく、五十肩になりやすくなります。 腰をそらせた隠れねこ背の姿勢の方は下腹が出ますし、腰椎のカーブがきつくなるため腰に前にすべる力が働き腰痛の原因となることが多いのです。

ねこ背は子供のときから

 ねこ背は多くは子供の時に作られると考えられます。例えば授業で先生に当てられるのがいやで背を丸めているとねこ背になる。しかし背を丸めてばかりいられないから背筋(せすじ)を伸ばそうとする。 しかし心理的に胸を張ることは抑制されていて、その結果腰を反らし隠れねこ背が出来上がるのです。 このようにねこ背の原因には心理的な因子とからだの使い方の癖が関係していると考えられ、その他に呼吸器の疾患などが考えられています。

ねこ背の治し方の原理

 背骨は自然なカーブ(生理的湾曲)になっていれば余分な力を入れずに立っていたり、座っていたりできるようになっています。 背骨まっすぐにする筋肉、背中やおなかの筋肉などからだを立たせるために使われる筋肉(抗重力筋)が自然に働くからです。
 骨盤の後面を垂直に立てその上に背骨をまっすぐに積み上げていくように、または頭頂部から一本の紐で釣り下げられているようにイメージして姿勢を正します。 もちろん背骨はなだらかなS字状のカーブを描いていますが、まっすぐなイメージで良いのです。

ねこ背の治し方−座り方を治す

 椅子に浅く座りお尻を後ろに倒し腰を平らに垂直にします。 お尻を動かさないように、腰を反らさないように注意して、目線を水平に保ったまま、顎を引きながら頭を垂直にしたまま後ろに持っていき、背筋(せすじ)をのばします。 この時に肩甲骨の間の筋肉に力が入り胸が開いた感じがすればねこ背は治っています。そのままの姿勢を崩さずそっと背中やお腹の力を抜いていきます。背骨のカーブが正常なカーブになります。 この姿勢が正しい姿勢です。

座り方を治す
隠れねこ背 ねこ背 正しい姿勢

ねこ背の治し方−立ち方を治す

 骨盤の下部を前方に回します。骨盤の後面と腰を平らに垂直にします。骨盤の前傾が減少します。 隠れねこ背(S字状)が単純なねこ背(C字状)になります。お尻を動かさないように腰を反らさないように注意して、 目線を水平に保ったまま、顎を引きながら頭を垂直にしたまま後ろに持っていき、背筋を伸ばします。この時に肩甲骨の間の筋肉に力が入り、胸が開いた感じがすればねこ背は治っています。 そのままの姿勢を崩さずそっと背中やお腹の力を抜いていきます。背骨のカーブが正常なカーブになります。

 ねこ背の方は背筋(せすじ)を伸ばしたことがない方が多いのではじめは難しいかもしれません。手のひらで腰が平らで垂直になっているか、腰が動いてしまわないかを確認しながらやると良いでしょう。

ねこ背の治し方−胸式呼吸法で治す

 この方法は立位でも座位でも応用ができます。骨盤の後面を垂直にします。腰もまっすぐにします。これはお臍の高さで腰を少し前に曲げる感じになります。腹筋に力を入れて下腹をへこませます。 下腹に力を入れてお腹をへこませたまま胸式呼吸をします。息を吐くときはお腹をもっとへこますように、息を吸う度に胸や背中にいっぱい空気を入れるようにします。 ふいごで空気を送り込むように、息を吸う度により多くの空気を送り込み胸、背中や脇までがパンパンに張るようにします。目線は水平を保っていて下さい。 背筋(せすじ)に力が入り胸が開いた感じがすればねこ背は治っています。この姿勢を保ったままそっとお腹、背中の力を抜き、自然な呼吸に戻します。これが良い姿勢です。

立ち方を治す
隠れねこ背 ねこ背 正しい姿勢

縦のねこ背と横のねこ背

 ねこ背には縦のねこ背と横のねこ背があります。背中を亀の甲羅とイメージしていただくと判り易いでしょう。
つまり縦のアーチと横のアーチのカーブが大きくなるのがねこ背なのです。
縦のねこ背と横のねこ背
縦のアーチ=縦のねこ背 / 横のアーチ=横のねこ背

 縦のねこ背は一般に考えられているねこ背のイメージである背中が丸まっている状態を指します。縦のアーチのカーブを少なくすれば縦のねこ背が改善されます。

 横のねこ背は両方の肩関節が前に出ていることを指します。肩甲骨を後に引けば肩関節が後に引かれ、横のアーチのカーブが少なくなり、横のねこ背が改善されます。 販売されているねこ背改善ベルトの多くは横のアーチの矯正をするだけです。

ねこ背の治し方の最重要ポイント

 ねこ背の治し方の最も重要なポイントは背筋(せすじ)に力が入った感覚があることです。
肩甲骨の間に力が入った感覚が無ければなりません
 この感覚が無いとねこ背は治っていません。自分ではねこ背を治した姿勢と思っていてもこの感覚が無ければねこ背は治っておらず、隠れねこ背になっています。 ねこ背を治すには肩甲骨の間に力が入った感覚が無ければなりません。

ねこ背を治すことにより期待できる効用

心理的効果

 ねこ背が治るとからだとこころの係わりに気づき、心が開放されやすくなります。

病気の予防

 ねこ背が治ると背中の筋肉や首の筋への負担が軽くなり背中の凝り、背中の痛み、肩こりが無くなります。肩や首のコリのための頭痛も無くなります。寝違いを起こしにくくなります。
また肩の関節が後に来るため肩関節の動きが良くなり、痛みや動きの悪さが改善し、五十肩の予防になります。

 腰をそらせた隠れねこ背の姿勢が改善すると、腰椎のカーブが軽くなり腰痛の予防になります。繰り返し起こしていたぎっくり腰が起きなくなります。

 胸の空間(胸郭)が大きくなり呼吸が楽になり、呼吸器の疾患の予防になります。

 骨盤内臓器のトラブルが減ります。生理痛の軽減や痔疾の改善が起こります。

 お年よりの円背の改善、円背の予防、脊柱管狭窄症の症状の軽減が起こります。

美容上の効果

 ねこ背が治ると骨盤が水平に近づき背骨のカーブがなだらかになるため、下腹が引っ込み、腰回りが細くなり、女性は胸のトップが挙がりバストのサイズも上がるなどの変化が起こります。 この効果は一時的なものではなく持続します。また一度ねこ背を直す感覚がつかめれば癖でねこ背に戻ってしまっても簡単に直すことが出来ます。 そしてだんだんとねこ背の姿勢を取らずにいられるようになります。 さあ、ねこ背を治して健康で美しくなりましょう。