アメリカ、ヨーロッパで出された「腰痛のガイドライン」では腰痛は安心して良いものだということを強調しています。 そして、今までの腰痛に関して常識と思われていたことの多くが、医学的、科学的根拠が無い、疑わしいとされました。

 例えば、急性腰痛(いわゆるぎっくり腰など)は安静が大切と思われていたのが、安静はなるべくやめて動ける範囲で動くほうが良いとの勧告が出ています。
 また、腰痛の原因がヘルニア、脊椎の変形などだとの考えは客観性が無いといわれています。腰椎の変形があろうが、ヘルニア、辷り症(すべりしょう)があろうが、それが即腰痛には結びつかないのです。 そこでそれらを総称して「非特異性腰痛」いうことになりました 。

 腰痛に関して考え方が一番大きく変わった点は、腰は今まで言われていたように弱くは無く、相当に強いもので、腰痛を繰り返していても重症化することは無いということと、腰痛に屈することなくプラス思考で腰痛を持ちながらも活動的な生活や仕事を続ける方が腰痛は克服できるといった点です。

 腰痛の最近の考え方は構造的な問題を探して診断名をつけるのではなく、腰痛を2つに分類して考えるようになってきています。
 1つ目はレッドフラッグ(危険信号)です。ごくまれに、癌の転移や外傷による脊椎の損傷、膀胱直腸障害などの危険な腰痛があり、除外診断します。これ以外は2つ目に分類される安全な腰痛(グリーンライト)です。それを治りにくくしているのが社会心理的因子(イエローフラッグ)なのです。そのイエローフラッグの中で最強のものが「腰は弱いもの」という刷り込みなのです。このイエローフラッグを無くしていく事が腰痛を克服する大切な点なのです。